日本人は、よく事なかれ主義で挑戦をしないと言われます。
ですが一方で、こういった言葉をお聞きになった方はいるのではないでしょうか。
「6割いけると思ったら進め」
「走りながら調整すればいい」
「失敗を恐れるな、挑戦しろ」
「進まないことによる機会損失のほうが大きい」
成功者の多くはスピード感を大切にしているので、こういった言葉をよく投げかけます。
時間はお金と同様で、有限です。
・・・いや、お金はまた取り返しがつく事がありますが一度消費してしまった時間は2度と戻ってきません。
そのため、何も決まらない会議や雑談に企業の時間を使っていては、ただただいたずらに資産を消費してしまう事になってしまうのです。
だからこそ、1から100まで整うまで動き出さない人を見て「そんな事をせずに早くしろ」というのは正論です。
その目安が6割だというのは、実に絶妙な割合だと私も思います。
ですが現実のお話をすると、全ての人に響いている訳ではないのです。
それではなぜ、ここまでの正論が響かないのでしょうか?
本日は、例え話を交えてお話していきます。
野球で例えてみると…
外野フライが上がったとします。
この打球は、着弾するまでに補給すればアウトをとれます。
野手にとって、ボールが空中にある間は大きなチャンスだといえるでしょう。
逆に、着弾してしまうと長打になります。だから、いち早くボールを素早く正確にキャッチしなければいけません。もしも他のことに気を取られたり、棒立ちをしていてはそのチャンスをみすみす逃してしまうこともあります。
これは、打者にとっても同じです。
ピッチャーの球がミットに収まってからバットを振っても意味がありません。
そんな打者や野手がいては困りますから、監督はきっと罵声を飛ばすでしょう。やはりスピードは最も大事です。
決してヤケクソにならない(させない)
一方で、決して起きてはいけない現象があります。
それは、プレイヤーがヤケクソになってしまうという事です。
かなりラフな書き方になってしまいますが、こうなってしまった例は別に珍しいことではありません。
なぜなら、誰かを叱責するということはその相手に不快な想いをさせてしまう事にもなるからです。
皆の前で叱責をするのであればそれは相手の顔を立てない「吊し上げ」ですし、ただ怒りをぶつけるだけでは、相手には怒りしか伝わりません。
最も大切なのは、怒りの感情を乗せてでも伝えたいリクエスト(どうしてほしいのか)だからです。これが伝わらないと、相手は自分の人格を否定されたと捉えてしまいます。
だからこそ、誰かの上司や経営者であれば部下に対して伝えることを真剣にやらなければいけません。
感情任せに怒りを撒き散らすと、相手は反省をしなくなる訳ですから宜しくない結果を招いてしまいます。
例えば・・・
- その会社を退職してしまう
- 同じミスを繰り返す
- 挑戦をしなくなる
- 成長をしなくなる
- 誰かに当たる
- 心を閉ざす
- 開き直る
表面上は取り繕っていても、人は生き物です。
プレイヤーがこれらの行動をとってしまうことで、会社内はおろかお客様へもそのシワ寄せが行ってしまいます。
社会人であれば、それは絶対に避けなければいけません。
ですが想像をしてみてください。仮にあなたの同僚や部下が取り返しのつかない失敗をしたあとで
「(上が)早くしろというからやった」
こんな風にうそぶいているとしたら、どう思いますか?
その人の業務には、もはや自分の考えというものは皆無であり、もしもあったとしても否定される訳ですから「言っても理解してもらえない」という負の感情が根付いてしまっているのです。
これが相手の人格を否定してしまった事の代償です。
そこで、次項の見出しにある「同じ方向を向くこと」が大切になってきます。
大切なのは、同じ方向を向くこと
球団であれば、相手よりも多くの点数を得てゲームに勝つというのが共通の目標です。
そしてゲームに勝つことで、得られるメリットも様々です。だから監督もコーチもプレイヤーも、一枚岩となって勝利するためにお互いの立場から協力しあいます。
球場では瞬発的にスピードが大切な場面はたくさん訪れます。
しかし、実際に大切なのは試合に勝つということです。
決して真剣さを失ってスピード以外のすべてを度外視しても良いという訳ではないのです。それではミスが増えるだけです。
本当に伝わるべきなのはスピードを大事にしろと声を荒げる方の心の底にある真剣さのほうなんです。
この真剣さが伝わっていない人ほど、表面上の言葉だけが届いてしまい本質のほうを汲み取ってくれません。
ここまで、野球をたとえ話に今回お話しましたが、企業経営でも同じ事です。
実際問題、私たちも同じ方向を向くために「共存共栄」という理念を掲げるようになりました。
理念とは、決して社長室の額縁に飾ってそれっきりにされているべきものではありません。
その企業のブランドアイデンティティを構成する重要なものであり、従業員同士の結びつきや協力関係を強力に担保するものです。
真剣さがきちんと伝わっているのであれば、いずれ語らなくても「語り部」となる人が現れます。
組織が大きくなればなるほど、語り部の存在は必要不可欠となっていくでしょう。
何でもそうですが仕事は準備がとても大切です。
準備をするからスピードも出せるのです。
そのために環境を温めることを、私たちは今一度真剣にならなければいけないのではないでしょうか。
今回は自戒も込めて「スピードよりも大切なもの」をお届けしました。
本日も読んで下さって、ありがとうございます。