こんにちは、広報部1号です。
いきなりこのブログタイトルを見て「何の話だ?」と思われる方も居るかも知れません。そして聞いたことのある方は「ああ・・・!」と思われることでしょう。
本日はオーストリア・ウィーン出身の哲学者であるルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは著書『論理哲学論考』『哲学的探求』に登場する「ざらざらとした大地」「ツルツルした氷の上」を踏まえて、お仕事をしていくにあたって大切な「必要なもの」についてお話させていただきます。
ざらざらとした大地とは?
ざらざら、という言葉から、そこが摩擦で摩耗してしまいそうになりそうな場所であることは明らかでしょう。仕事をしていると、しばしば「摩擦」が生じます。
業務におけるプロセスが増えれば増えるほど、関わる人が多ければ多いほど、その理解度や解釈には差異が生まれますし伝言ゲームも起きやすくなるでしょう。
例えばノートPCを、社外に持ち出す必要があったとします。
しかし、企業は情報漏えいを避ける必要があるのでケンジントンロックという鍵をかけ、机に固定されているとします。持ち出すためには役職者から印鑑を貰わなければならず、その印鑑を警備員に見せたら初めて解錠するための鍵を貰えるのだとしたら、聞いただけで「面倒くさい」と思いますよね。
これが摩擦です。
ツルツルした氷の上とは?
上記のプロセスが全く無ければ、もっとスムーズに物事は運ぶし「面倒くさいから誰もそのPCを使わない」なんてことも起きなくなるでしょう。
摩擦を減らして物事を効率化する事は、生産性アップに繋がります。この生産性を上げることは、あらゆる営利目的の企業にとっての課題でしょう。
そして弊社もご多分に漏れず、やりたい事への到達手順が少なく、ユーザーにストレスを感じさせないことをメインテーマとしています。
氷を作るために必要なこと
では業務を効率化する時に必要なことって何でしょうか?
まず手作業でやっていたことの自動化や、不要なコストの削減などが挙げられることでしょう。
もしも足し算ばかりを何度も繰り返すのなら、これを「掛け算」に置き換えていけばこれまでの何倍も素早く、安定した結果が出せるようになります。仕組み化された状態で走るのは、まさに「氷の上」を滑っている状態なのです。
ところが、この効率化が行き過ぎた状態だと「先に進むこともできない」とヴィントゲンシュタインは話しています。
私たちは摩擦のない氷の上に迷い出たのだ。そこでは、条件はある意味で理想的なのだが、しかし私たちはそれゆえにまた、先に進むこともできないのである。私たちは前へ進みたい。そのためには摩擦が必要だ。ざらざらした大地へ戻れ!
「哲学探究」より引用
氷の上は摩擦がありません。いきなりそこに投げ出されてしまっては、歩みたくても歩めないのです。
ですが、人が目的地にたどり着くためにははじめに土を蹴る必要があるのです。
そして土を蹴るからには「どの方向を向いて」蹴るのかを決めなければいけません。
摩擦の煩わしさを知り、なぜ取り除くのかを共有する
掛け算の氷の上を滑ることは非常に楽です。
足し算を掛け算に置き換えることに慣れている人にとってはその工程も楽なはずです。
ところが、掛け算だったことを再度足し算に解し治すことは実は容易ではありません。
容易ではないのですが、ここで思考停止してしまってはいけないのです。
座組みがいつか瓦解したり、使われなくなったときに自分の力で歩いて目的地までたどり着くことができなくなってしまうからです。
餌をもらう事に慣れてしまい、自分で獲物を捕食できなくなってしまったライオンと同じです。
一見非効率に見えるやり方でも、いや、むしろ非効率だからこそ意味があるんです。
もしも氷の床をこれから作ろうとしているなら、目印や足を休めるような休憩地点が必要です。
こうしないと保守性や品質を維持できなくなってしまうのです。
システムづくりにおいても、マニュアルづくりだけでなくコーディング規約や開発環境づくりが必要です。それは一人でゴールまで行ける人にとっては一見煩わしいものですが、大勢で向かうなら必ず役立つツールとなります。
アフリカの諺にも「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」というものがありますが、私たちはやはり皆で進みたいと考えて日々成長しています。
本日も読んで下さり、ありがとうございます!