「網羅思考に囚われるな」
「6割いけると思ったら進むべき時だ」
完璧主義すぎる人に対して慎重になりすぎるなといった意味合いで、こんな風に言われることが時々あります。本日のテーマである「70点思考」という言葉も、時々noteで見かけます。
実にわかりやすく共感も集まりやすい言葉だなと思うのです。
網羅思考の罠
完璧主義すぎる人は、すべての課題をクリアするまで時間をかけてから初めてGOサインを出します。ですが、これでは出来上がるまでに時間を要します。
そうこうしているうちに別の課題が現れていたり、そもそも進んだところで市場が下火になっていたり、他社との差別化が難しくなっていたりするのです。
だから新しく何かを始めるのだとしたら、何をやらないかを決めなければいけません。
この匙加減に最適解はありませんが、6割や7割だと言うとなんとなくで容量が掴める人が居れば分かってはいるけどやはり・・・という人もいます。
どちらの気持ちもよくわかるので、やはりこういった話題は人の関心を集めやすいのでしょう。
70点を一人だけでジャッジしていないか
情報が豊富に溢れかえってきた現代は、少ない工数で70点が簡単に取れる時代になったといっていいでしょう。
私はこの手の話をするときに、よくラーメンをたとえ話にします。
ラーメンって不思議な食べ物ですよね。
即席麺も美味しいし、全国中にラーメン屋さんがあるほど超人気の国民食です。
即席麺は簡単に70点の味を取れてしまう
この即席麺を作るのにかかる時間はわずか3分です。
コストは・・・安いもので100円くらいのものもありますしそれで充分だという人も居ます。
500円もあればちょっと贅沢じゃないかってくらい美味しいものが食べられます。
お店で出すラーメンは高いけどコストがすごい!
お店のラーメンは、かかる工数が即席麺の比ではありません。
もしラーメン屋さんや、中華料理やさんのラーメンが1杯700円を切ったら、ちょっと安いなと思います。高いものだと1000円を超えます。
1000円。
もう即席麺の10倍の値段がついてしまいました。同じ空腹を満たすためのラーメンだというのに、どうしてこんなに違うんでしょうか?
理由は様々です。ちょっと想像しただけでも、これくらい理由がありそうですね。
- 一斉に機械で大量生産しているものではない
→1つ1つ手作りのため、規模の経済効果がうすい - 食材の仕入れや保存を自前で行っている
→その為の移動経費や、冷蔵庫・冷凍庫などの光熱費がかかる - お店の回転効率について
→回転率は、味やメニュー以外にもお店の広さや、立地環境などにも依存する。ランニングコストも様々。
そしてたいていのラーメンは買ってから自由に持ち運べるものではない。回転スピードに雲泥の差がある。 - 夜間に仕込みを行う場合はそのぶん人件費もかかる
- 食器を洗ったりするのにもコストがかかる。
→即席麺は食べたら捨てるだけ
・・・などなど、即席麺のように自動化されていないところがあちこちにあることがお分かりいただけると思います。これによる摩擦の大きさと引き換えに、ラーメン屋さんはあるものを手に入れています。
それは70点以上の味をお客さまに提供できるということです。
で、自分が作るラーメンは何点なのか?
もしも全くの未経験でラーメン屋として起業したいんだとしたら、潤沢な資源がない限りは70点以上のラーメンはまず間違いなく作れません。
理由は簡単で、70点までは誰でもすぐに取ることが出来ます。ところがそれ以上のラーメンを作ることは、素人には出来ないのです。
「ラーメン屋になりたいんです」といった時に求められる事こそ「USP(独自の売り)」です。
これがないと「それって他所にもあるよね?」となってしまいます。
なぜ求められるのか?
それは、市場に広まって久しいがゆえに、ラーメンという料理が希少価値を失っており、ラーメンというだけではもはや差別化が出来なくなってしまっているのです。
悪い言い方をすると「あぶれる」という状態に陥ってしまうのです。
そんな状態は、実はもう70点とはいえません。
70点の味を相手に提供できることと
70点のラーメン屋になれることは全然ちがうんです。
今回はラーメン屋として例え話をしましたが、肝心なのはここからです。
今この記事を目で追っているあなたがもし・・・
- ○○職として頑張りたいんだとしたら、他の人と異なる独自の売りって何でしょうか?
- ○○屋さんとしてモノを売りたいんだとしたら、お客さまにどんなトークスクリプトを組み立ててアピールをしますか?
- ○○が出来る人としての希少価値や、タイミングとしてはどうでしょうか?
- どんな風に社会貢献できそうでしょうか?(70点はクリアできそうですか)?
・・・意地悪な問いかけをしてしまったかもしれませんし上から目線に感じさせてしまったかもしれません。ですが、これを聞かれた時点で考えてしどろもどろになりながら回答するような人が多いのが、現代の採用現場における実情です。
最後に
本日の記事を読んでくださった皆様には営業や採用面接の場に備えて、ちょうど良い70点というものを徹底的に見極めた上で現場に望んでいただきたいなと思います。
どう話すのか固めておくだけでかなりの問題は解決しますから、私としましてはそんな影響を届けられるような記事をこれからも綴っていきたいです。