最近、私だけではなく若手の営業スタッフと一緒に採用面接をする機会が増えてきました。考えてみれば入社して2年目になる先輩って「自分の1年後」として身近で、イメージがしやすい存在です。逆に年齢やキャリアが離れてしまうと、やっている事も考え方も変わってきて、どうしても発言内容も全体を見た上でのマクロ的なものになりますし、それ故に現場のイメージが付きづらくなってしまいます。
さて、そんな入社2年目を迎えて段々とキャリアが形成されてきた彼ですが、じつはある「脅威」が近づいています。
それが今回の本題である「ダニングクルーガー効果」と呼ばれるものです。これから共栄美装にエントリーしようとして下さっている求職者の皆様も、ぜひ本日の記事で入社して2年後の自分をシュミレートしてみてください。
ダニングクルーガー効果って?
アメリカの社会心理学者デイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーは、ある「認知バイアス※に関する仮説」を提唱しました。それが「優越の錯覚」というものです。
※経験や先入観による直感などで、非合理的に起こってしまう心理現象のことです。
例えば実際の能力はまだ随分と低いのに自分には「できる」と錯覚してしまったら、それはダニングクルーガー効果が起きてしまっているといえます。身近にも、こんな人は大勢いるのではないでしょうか?
経験は自信を生むものですが、できたての自信はまだふわふわとしたものです。まるで、地盤が出来ていないのに建物が立っているような危うさを孕んだ状態にあります。
・・・具体的に「自信」と「能力」を2軸にしてグラフにしてみると、こんな感じになります。
最初に急激に自信をつけて天狗になっていたところで、鼻がへし折られて自信喪失しているのがよくわかると思います。
1:馬鹿の山 | 入社して能力が備わり、自信や高揚感がある |
2:絶望の谷 | 能力不足を実感して絶望 |
3:啓蒙の坂 | 不足していたことを受け止め、着実なレベルアップをしている状態 |
4:継続の台地 | 自分に大しても他者に対しても正しい物差しで評価が出来るようになった状態 |
特に絶望の谷からのプロセスを辿れるかどうかで、その社会人は本当の意味で成長・成熟していくのがよくわかる図式ですね!では次に、どんな時に絶望の谷に実際に叩き落とされるのか?を見ていきましょう。
社会人2年目が求められる役割とは?
ある程度プレイヤーとして力をつけたところで、多くの社会人は後輩を迎え入れます。新卒2年目が、入りたての新人を指導する所を想像するとイメージがつきやすいと思います。
これまで任されていたことと並行して、人を指導する立場に初めて就いた人を待ち構えるものをまとめてみました。
1:これまで以上の負荷の仕事が待っている
質・量ともに、1年目よりも沢山の負荷があって責任もあるお仕事が任されます。覚えることがメインだったはずが、こなすこと、拡大することを求められはじめます。
2:別のことを学ぶ機会がある
職場にはジョブ・ローテーションというものがあります。営業をしていた人が急に工場で作業をしたり、異なる立場から物事を学ぶことで、幹部候補生として社員を育成する会社は多いです。
ゼネラリストとしての成長が狙える一方で、人によっては「自分がやりたかった仕事は本来こっちなのに・・・」というジレンマを抱えることもあります。
3:[小さな独り立ち]指示を仰ぐのではなく指示を出す側に
これが出来るということは、つまるところ小さな独り立ちができるということです。先輩の手を離れて、ある一定の範囲内の仕事は任せて貰えている状態。
寂しくもあり不安もある状態です。それまでにしっかりと先輩に指導してもらったり、業務について「そういうものなんだ」と深く咀嚼せずに疑問に思わなかったらこんなピンチが待ってます・・・
3-1:[小さな独り立ち]初歩的な質問ができなくなっていく
周囲からの期待値が高ければ高いほど、初歩的な質問がしづらくなってしまいます。でも不明点があったら聞かないと。聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥。
もしもよくわからないことをわからないまま進めて大事故を起こしたら、怖くないですか?周囲の先輩も見ています。後輩もその背中を見ています。
こいつみたいになるなよ
こう言われてしまうのって怖いですよね。そうです、怖いんです。
実際に事故を起こすか先輩に大目玉を食らうか、どっちかわかりませんがそれは「絶望の谷」という状態です。
4:思ってることが伝わらない
よく昔から、人に教えることは学ぶことの3倍難しいと言われています。実際それはその通りで、広報部1号は暗記ものが特に苦手で、計算能力もあまり高くありません。
なので本来は何回も反芻しないと物事を覚えられないのですが・・・さらに大変なことにその3倍、後輩を指導することはとても難しいのです。
おなじ日本語が伝わる人間でもそれぞれが持ってる「理解の取っ掛かり」はぜんぜん違います。例え話を出そうとしても、もし後輩が野球に詳しくない場合は野球の例えを出してもいまいち伝わりませんでした。
この場合、ぜんぜん別の・・・例えばゲームやアニメ、料理の話などにすると伝わることがあります。相手が外国人なら、あえて英単語を日本語訳せずに話したほうが伝わることも。
そう、取っ掛かりとは「それまで触れたり学んできたこと」で出来ています。
ここで「抽象化と具体化」をすばやく行うことが出来る人はよく話し上手だと言われます。物事から共通点を見つけて、温度感を失わないうちに相手が知らないことでも飲み込みやすいように説明ができるからです。
・・・黙々とまじめに目の前の作業を繰り返してきた人ほど、改めてトレーニングが必要だということもわかってきます。ということで上記1~4では「これまでと全く異なる力」が必要になってくることがわかると思います。同時に、改めて「これまでの自分の学びがしっかりしたものか」が試されるタイミングが2年目なんです。ここで自分に対する見積もりを誤ると、本当に重大な事故に繋がりますのでくれぐれもそんな事のないようにしたいですね!
対策法
ということで、ここからは対策法についてお話します。啓蒙の坂へ向かって、継続の大地へ向かうための大切なプロセスです。
1.わからない事は聞く&調べる
遅すぎると思っても放置しないことがとても大切です。そうしているということは、ミス隠しをしているようなものです。
2.自己啓発本を読んだりセミナーを受講する
特に「はじめてリーダーになった人」向けの書籍は多く販売されていますし、コーチングセミナーをはじめとした多くのセミナーも世の中にはあります。
3.習慣化する
上記の1と2は突発的に、その場かぎり行うものではなくずっと行うことで段々と効果を発揮していきます。上記以外だと「時間を測りながらのタイムマネジメント」や「タスク管理する時間を1日30分だけ設ける」といったことを習慣化すると良いでしょう。
たいていの人間は、意識していなければ継続は出来ません。だからこそ、出来るようになったときにライバルたちに圧倒的に差をつけることができます。
そう、絶望の谷を乗り越えた社会人は本当の意味で強いです。足元がしっかりしているし応用も利く、気遣いもできるカッコイイ大人になれます。私は、今関わってる人たちや、この記事を読んでくださっている方々にそうなってほしいと思いながら本日の記事を書きました。
まとめ
これまで、人事関係のブログでは弊社が「どんな会社か」「どんな方と繋がりたいか」という部分について集中的にご紹介してきました。そこから1歩前に全身して近い将来のビジョンをお伝えすることを目的にして本日の記事をお届けしました。
今日のお話が、皆様の活力になれていれば幸いです!