弊社は求人を出すときに度々「スタッフが大きな裁量を持てる会社であること」を謳ってきました。実際、WEBサイトを運営している私含め、多くのスタッフがこの裁量の大きさの恩恵を受けています。
そして既存の枠に囚われずに自由な発想を形にして新たなワークフローを生み出したり、新しいプランを生み出してお客様にご提供してきました。
身近な例としては決裁権などが裁量の例としてあるでしょう。ですが、こんな風に時々思うのです。
いきなり「裁量あります」と言われても求職者の皆様からすると「?」になるんじゃない?
なぜなら、この言葉は表現としてはやや抽象的だからです。
抽象とは多くの物や事柄に共通点を見出し、これを一般的な概念としてとらえることです。それが見出せないうちは雲を掴むようで、とらえどころがないよくわからない話になってしまいます。
そこで本日は、具体例を添えて裁量がある事のメリットやデメリットについてお話したいと思います。
例:商社Aの場合
仮に商社Aに営業スタッフとして勤務するSさんが居たとします。事業所の数字は毎年右肩下がり。売上を1円でも多く稼げと言われている訳ですが、商談はなかなか取れません。
Sさんは入社して3年。まだまだ伸び代はあります。業界のことがある程度分かってきました。そして自社で扱っている商材が、一流ではなく二流三流という位置づけであることも。
この場合、売れない原因は以下の2つになります。
- 交渉力
- 商品力
商談があった時に、クライアントの評価水準を満たしていないのです。
式にするとこのようになります。
交渉力×商品力=クライアントの評価
それぞれ最大5ポイントまでで、評価が11ポイント以上あればお客様は財布の紐を緩めて商談成立するとします。仮に2件商談があったとして、以下に2つの例を挙げてみます。
交渉力が高い場合
交渉力4×商品力2=評価8(-3)
→あと3ポイントぶんの評価が足りません。これ以上交渉力だけを磨いて5にしても評価は10にしかならないから、クライアントの期待を上回ることは難しいでしょう。
商品力が高い場合
交渉力2×商品力4=評価8(-3)
→Sさんはまだまだ伸び代があるのであと1ポイントの交渉力を上げれば評価は12ポイント。11の評価を上回るので商談が成立します。
どちらも評価が8ですが、状況は異なりますよね。
Sさんは、自分の能力を開発することについては100%の裁量があるといって良いでしょう。
その一方で、商品力についてはどうでしょうか?
これは、勤務先であるA社が社員が働きやすいように企業努力をして取引先を開拓するか、営業会議などでSさんから現場のアイデアをヒアリングしたり、ある程度の裁量をもたせる必要があるでしょうね。
交渉力 | 裁量はSさんが持っている。 →努力次第で向上する |
商品力 | 裁量はA社が持っている →取引先を再検討して新規開拓しなければならない |
A社で上司がSさんに対して頭ごなしに叱責して頑張って交渉力を底上げしたとしても、限界値が5だったならその商談はどうやっても成立しません。
そしてSさんはこんな風に思うでしょう。
現在のウチの商材だけじゃダメだ!商談が取れても相見積もりで負けてしまう・・・もしC社の商材があれば取り逃がさなかった商談もあるのに・・・!
A社にとってC社の商材が簡単に取り入れることの出来るものだったら、取り入れない手はありませんよね!私たち共栄美装は、こういった現場の声を逃さずに組織経営に柔軟に組み込んできました。
上記例では商材についてのお話をしましたが、お仕事に使う道具はまだまだ沢山あります。今このテキストをタイピングしてるキーボードやパソコンだってその1つ。
弊社は、こういった意思決定をする権利が多い社風です。
裁量がある事によるメリット
自己成長の機会がある
従業員が自らの環境を受動的にではなく能動的に改善することが出来ます。指示を受けて動くのではなく問題を発見→解決に向けて動くプロセスで、新しくスキルを身に着けるチャンスがあります。
柔軟性がある
もし予定組みを自分で任されるのだとしたら、決まったルーティンだけに溺れる事なく新しいプロジェクトに速やかに取り組むことが出来るでしょう。これによりサラリーが増えれば、ライフワークバランスの改善にも繋がります。逆に、誰かが苦しんでいるのにずっと柔軟性がなく話が平行線なままだとその環境は悲惨です(これは後述します)。
アイデアが形になる
「もっとこうしたらいいのに」が形になる瞬間って、心地良いものです。そんな風に生まれた商品って世の中に沢山ありますよね。当たり前だけど必要な物を作る第一人者に自分がなれますし、その様子を見ていた人が「自分にもこんなアイデアがあります!」と案出しをしやすい雰囲気も作られていきます。
◯◯をやった人として認知される
これもかなり重要なことですね。過去にどんな実績をあげた人なのかがわかって社内での認知度が上がれば、何が得意なのかもイメージしやすくなるので任せてもらえる仕事も最適化されたものになっていきます。
つまり全体的に組織の温度感が上がっていくというメリットがあります。逆にデメリットとしては、裁量は責任とトレードオフであるという事でしょうか。
裁量がない事によるリスク
この記事の著者として、私は同時に裁量がない事によるリスクも皆様に唱えていきたいです。
もしもSさんの交渉力が十分なのに商品に価値がなく、お客様が物を買わない場合はこんな図式になります。
交渉力4×商品力2=評価8(-3)
この負け戦がずっと続いてしまうのはリスクでしかありません。で、事務所ではこんなやり取りがされます。
C社の商材を取り入れたい?
外部環境のせいにするな!まず自責思考を大事にしろ。
そういう事は結果出してから言え!
そもそもS君が6以上の交渉力を発揮すれば良いだけの話じゃないのか💢
うう・・・はい。
こんな事を言われても、Sさんの交渉力を6以上にする事はできません。
他の不確定要素が動けばまだ伸びるかもしれませんが、上記の会話がただの根性論であり生産性のない不毛なやり取りである事は明らかです。上に立つ者が交渉力と商品力を正しく見極めずにこのようなやり取りをすることは、健全なマネジメントとは程遠いでしょう。
Sさんは立場上「はい」という他ありません。この状態がずっと続くとSさんは正しく成長できず心身を病んでしまうかもしれません。さらにその様子を見ていた後輩たちもSさんのさんのようになりたいとは思わなくなるリスクもあります。
そうなった組織がどんな未来を辿るのかは、想像に難くないでしょう。もしもSさんが優秀だった場合、その事業所はすぐに営業力を失い、これまで取れていた案件も逃す羽目になります。会社のリソースが足りなければ優秀な人材を雇用することもままなりません。何から何まで切り詰めるしかなく勝ち筋の見えない負け戦が繰り返されます。
こんな風に、安泰しているように見える企業も実は裁量がない・または過不足があって適量でない事によるリスクを孕んでいるケースが往々にしてあることを、改めて届けたいと思って本日のお話を書きました。
最後に
裁量がなくても、外部環境に絶対的な信頼が置けるならなんの問題も無いでしょう。
Sさんの勤務先で言うなら、何をやっても勝ち戦で、商材は一流、どんどん業績が伸びていて、お給料も上がっていき、部下も増えていき、仕事のレベルもステージも上がっていく・・・というものだったら、何も言うことはありません。
・・・まあ、現実はそんなに甘くありませんよね。
さらに「自分で環境を良くしていこうとしても、抑止力が働いて道を塞がれてしまう会社」が多いことも事実です。組織は一枚岩でなければならない事も多々あるので、構造上こうなってしまう事はある程度仕方のない事です。
ですが私たちが共存共栄というスローガンを掲げて目指すのは、そんな未来ではありません。創業してから今日まで、いろんな意見を柔軟に取り入れて強い組織を作ってきました。
もし弊社という企業に興味がありましたら以下のエントリーフォームからいつでもお声掛けください。
最後になりますが、ここまで読んで下さり誠にありがとうございました!