久々に人事部の人間らしい記事を書きます。本日のお題は「尊敬する人物の選び方」。
え。ちょっと待って?尊敬する人物って”選ぶ”ようなものなの?
自分が本当に心から尊敬するべき人のことを言うんじゃないの?
もしかしたら、こう思われた方もいるかもしれません。その意見もご尤も。心から相手のことを深く尊敬していないと理解度も浅く、語ることなんて到底出来やしません。
そもそも、なぜ「選ぶ」必要があるのか?からご説明していきます。
選ぶ必要性
どっちが一般的に「わかりやすい」でしょうか?
私が尊敬する人物は「ホーコン・ウィウム・リー」です。
私が尊敬する人物は「坂本龍馬」です。
一般的に見るなら「坂本龍馬」のほうになりますよね。学校の義務教育で習いますし、テレビドラマとかでも時々、龍馬の活躍を描いたものが放送されています。
坂本龍馬の人物像を簡単に
何をした人なのかを箇条書きすると
- 薩摩藩と長州藩の仲介役として薩長同盟の立役者となった
- 土佐藩を動かして大政奉還を提言した
- 明治新政府の基本となる国家構想である「船中八策」を提唱
どんな人物像だったのかを箇条書きすると
- 愛嬌のある人物だった
- 知らないことがあれば、素直に教えをこう素直さを持っていた
- おおらかな人物でもあった。「心はいつでも太平洋ぜよ」という名言を残している
インパクトが強いので、歴史上の人物の中でも名前を出せばすぐにわかるでしょう。
有名人物であればあるほど、お互いの理解度がある程度高い状態からトークを始めることが出来るので、間延びせず内容の濃い話ができます。
ただ、だからこそ掘り下げはしっかりと行っていないといけません。人物名だけ用意して、それ以降の掘り下げに対してぼやっとした内容しか回答できないようであれば、逆にマイナス印象になりますし他の人が既に答えていた場合は「また聞いたよ・・・」って思われるリスクもあります。
メジャーなのかマイナーなのかを吟味した上で、その産業に響きそうな偉人ってどんな人だろう?と考えながら下調べを進めると良いでしょう。
なお、有名人物でないのなら大変残酷な真実ですが「両親を尊敬している」と言っても面接官にとっては関連性がない訳ですから説明にはかなりの根気が居ると思ったほうがいいです。
親孝行だという印象を与えることは出来ても、だからといってそれが採用に結びつくことは少ないのです。
一方、ホーコンは何をした人なのか?
そもそもどこの国の人なのか?が大抵の人は解らないと思います。彼はノルウェー人で、オペラ・ソフトウェアの最高技術責任者(CTO)です。
Webページの見た目・デザインを調整するためのスタイルシート言語であるCSSを提唱したことから「CSSの父」だとも言われています。
オペラ社はブラウザを開発している企業なので、CSSの構文を解読して画面上に表示するプログラムを搭載する必要がありました。社内に彼がいた事と、創設者であるゲイル・イヴァルセイ、ヨン・スティーブンソン・フォン・テッツナーの活躍で、マイクロソフトやネットスケープがCSS 実装に3年を費やした中、3ヶ月でCSS実装を実現させました。
このCSSが無ければ、今のように私はお仕事をすることが出来なかったでしょう。(もちろん、登場しなかったらしなかったで別の技術が発達した未来はあったかもしれません。)
・・・と、ここまで書いてみてWEBエンジニアやWEBデザインに精通している専門家の人が面接官なら理解できると思います。
ですが、そうでない面接官にとっては馴染みのない人物名と専門用語のオンパレードで、よく分からない内容です。
間違いなくスゴい事をやった人ではあるんですが、知らない情報を咀嚼するのにも時間を要します。それだと温度感が上がらないし、理解と共感の橋渡しができません。
温度感が上がらないままある一定時間を過ぎると
あ、わかりました。次の質問に入ります
といった感じに、話を打ち切られてしまいます。そのタイムリミットは、持って2分半くらいでしょう。
2分半以内にエピソードに詰め込むべき内容とは
1.尊敬する理由
絶対に忘れちゃいけないのが、尊敬する理由です。ここで整合性がとれていなかったり、ぼやっとした内容だと掘り下げが浅いと思われてしまいます。
彼らの、どこにポジティブな影響を受けたのかを自分の言葉で説明できるように先に考えを固めておきましょう。
2.自分はどう動くのかを添える
例:坂本龍馬がおおらかで誠実な心の持ち主であることに惹かれたのなら・・・
「もしお仕事をはじめて恥をかくことがあっても、知ったかかぶりをせずに解らないことは解らないと素直に教えを乞う柔軟性を大切にしていきたいです」
「いつか私も誰かにとっての先輩になると思います。そんな時に、後輩の視点に立って心強いバックアップができるくらいに成長したいです」
これくらいの答えを、具体例を添えて前もって用意しておきましょう。その場で考えて頭の中がパニックになると自信がなくなって細々とした声色になってしまいます。それは面接官にとって悪印象でしかありません。
3.キャッチボールをする
面接は限られた時間内に早口で喋るタイムアタックではありません。
相手が相槌以上の何も話していないのに延々トップスピードで話してしまうのは、路面が凍りついているのにその上でキュルキュルと車のタイヤを回しているようなものです。
うわ。この人、後からの軌道修正が大変そう・・・
こんなことを思われたら、最悪です
キャッチボールは、ターン制です。話す時間が2分半しかないのではなく、1ターンにつき最大2分半ほどの時間をお互い与え合ってラリーをしながら、1歩1歩目的地に歩いていくというイメージです。
トークが弾めば、温度も高まります。掘り下げが進んでいけば、実務と関連付けして話すことも出来るようになっていきます。
まとめ
誰かに答える為に用意する「尊敬する人物」と自分が本当に心の底から敬う「尊敬する人物」は一致するならそれに越したことはないのですが、もしそうでないのなら別々に分けて用意しておく必要があります。
面接でよく聞かれる質問の1つですので、本日の記事をご覧の方の参考になれば幸いです。