人はなぜ、インテリアに独創的なアイデアが加わると、それが無骨で古びたものであっても「お洒落だ」と思ってしまうんでしょうか。
それはきっと、その空間に私たちの目を通じて「美感」を引き起こさせるものがあるからでしょう。
たとえば物品の組み合わせや形状、模様、色彩、光のあたり具合・・・これらのファクターが絶妙な割合で構成されているからこそ、私たちはその空間に惹かれます。
今回の記事タイトルにも含まれる「インダストリアルデザイン」もその一つ。
日本では「工業意匠」と呼ばれます。
このデザインを言葉だけで伝えきることは困難です。
ですが「百聞は一見に如かず」という諺がございますので、それに則ってインダストリアルデザインの一例をこれからお見せします。
こちらはシェフが着る服の展示会の様子です。
レンガの背景の棚に、パイプを仕様した木製のラック、あえて古い木を活用した展示台には大胆にマネキン人形が腰掛けています。
この会場でのハンガーラックは、安価で利用できるステレオなパイプハンガーではありません。
一見すると不格好にも見える水道管ハンガーラックを使用しています。
鈍色に輝く鉄管は、カーブを描く箇所にも継ぎ目が目立ちます。
ですが、不思議とその古さが一種の”味”を出しています。
時の経過が熟成された価値を生み出す
良い革製品は、経年変化による味が出てくるものですが、インダストリアルデザインは、まさにそれに近いレトロ感やヴィンテージ感を表現できます。
そして展示物と融合させることで、デザインはどこまでも広がりますし、どこまでも深まっていきます。
こうして出来た世界には、通りすがりの人が足を止めて見つめてしまうような不思議な力があるものです。
デザインは足し算だけではありません
地味で無骨に見えるものは、それ自体が値打ちのあるものとして存在することはもちろん、綺麗で鮮やかなものを引き立てます。
私たちが普段袖を通す衣服にも、明るいものがあれば暗いものがあります。これらにメリハリをつけようと思うと何が進出色で何が後退色なのか、柄や、表現したいもの、その人の人物像に合うものはどれかなど、様々な検討材料から、組み合わせを模索するものです。
この試行錯誤を経て、良い組み合わせにたどり着くそのプロセスこそ、私たちが真にお客様の力になれる部分と自負しております。
優れた彫刻のように、或いは美しい音楽のように抑揚があり、気品があり、人を惹きつけて離さない。
そんな独創的な空間を私たちと共に創りませんか?