先日ご来店いただいたお客様が「私たちはノンバーバルコミュニケーションを大切にしています」と仰っていたのですが、その時「それって、イベント業界にこそ大切だな」と思ったので今回はそれをやる上で大切な事と、その理由をお話しようと思います。
その前に…
ノンバーバルコミュニケーションってなんだ?
誰かとコミュニケーションをとる時、私たちは言葉を口から発してそれを耳で受け取ったり、文字を買いてそれを目で読み取ったりします。
これは言語によるコミュニケーションです。
一方で、ノンバーバルコミュニケーションとは上記のように明確な言語ではなく「話し方」「表情」「仕草やジェスチャー」といった言葉以外の方法によるコミュニケーションです。
この為「非言語コミュニケーション」と言い換えられることもあります。
ノンバーバルコミュニケーションは特にカウンセラーや心理学の分野では昔から使われてきた用語ですが、ビジネス界でもしばしば使われるようになってきました。
これが出来る人は「空気を読める人」「気遣いが出来る人」と評価されやすいはずです。
非言語でも(言わなくても)、相手の様子や場の様子を汲み取って然るべき次の行動をとれるからです。
逆に出来ない場合は「空気が読めない人」「言われたことだけしかやらない人」「自分で考えて動かない人」とも受け取られてしまいかねません。
ノンバーバルコミュニケーションを取る上で大切にしたいこと
上の説明だけでもなんとなく察する力が大切なことは分かると思うのですが、かといっていきなり「空気を読め!」「自分で考えて動け!」と言われても、どうすれば良いのかわからないものです。
言う側も、それでは伝わりませんし怒りや不満の表情で伝える訳ですから主に届くのは「その感情だけ」です。
本当にその人に届くべきなのは「どうして欲しいのか」なのに。
ここで大事にしたい事があります。それはアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが実験により発見した「メラビアンの法則」です。
下記にグラフがありますが、これは話し手が聞き手に与える印象のうち、大部分は目から伝わる資格情報・耳から聴覚情報が占めており、話している言葉そのものが影響している部分はわずか7%で1割にも満たないということがわかりました。
このグラフのうち、93%は「ノンバーバルコミュニケーション」に相当するものです。
だからこそ大切にしたい事があります。
まずコミュニケーションをとる前に見た目や身嗜み、表情には気を配らないといけませんし、相手の目を見て話すように気を配らなければいけません。
話し方についても、きちんと伝わるためにはどのくらい感情を乗せるべきなのか?
相手はどんな話し方をしてくれているのか?
大事な話をするときは正面から話せばいいのか、それともカウンター席のような席がある場所で2人が同じ方向を向くよに座れば話しやすいのか?
このあたりの気配りも大切です。
イベント業界ではなぜ大切なのか?
最後に、なぜイベント業界でノンバーバルコミュニケーションが大切なのかをお話します。
イベントとは性質上、お客様の言う通りのモノを決まった日時に運んでいくだけでは成り立たないものだからです。
当日は大勢の観客が集まって、演者さんがパフォーマンスを披露して、ディレクターが率いる運営チームも一眼となってイベント成功のために手をとりあいます。
そして、準備期間のコミュニケーションだって大切です。
営業マンはお客様の要望を注意深く聞きながら、場合によってはお客様が「口には上手く出せないけど本当はこれがしたい」と抱えていることを汲み取って、話している内容とは異なる案を提示する必要もあります。打ち合わせをしながら、お客様のビジネスパートナーとして一緒にイベント成功に向けて下準備を積み重ねていきます。
良い例
こちらは、表情をきちんと読み取ってお客様のお困り事を解決していく例です。
社内運動会をするために、いつものようにテントとか物品を諸々借りたいんだけど・・・(困り顔)
・・・なにかお困り事ですか?
実はけっこう、参加したがらない社員もいるんだよね。
親睦を深めることを目的にして開催してるから、こういうのは困るんだけど強く言えないし反発されても困るし…
こういうときは、ほんとはベテラン社員ほど皆を引っ張ってほしいんだけどね。
なるほど、そういう事でしたか・・・
もしかしたら、皆様はただ運動会を開催しているだけに感じていらっしゃるのかもしれませんね。
少しプログラムを見直してみませんか?何か、皆様にとって参加したくなる良い理由が見つかるかもしれません
→ オーソドックスな玉入れや綱引きなどの競技だけでは、同じ人たちだけで何度もやったら飽きてしまいます。このお客様はそんな状況です。
ここでヨーヨーつりや、射的のようなお祭りが出来れば楽しむことが社員さんが家族を連れてきて遊べる場が出来るかもしれません。
また、体組成計や血圧計、足つぼマットなどの健康グッズがあれば、親睦を深める他に年配の方が気になる「健康」という一つのニーズもキャッチできるかもしれません。
ここで「そもそも論」に立ち返ると社長は「そもそも親睦が深まるのなら何も運動会じゃなくても別の社内行事にしても構わない」事だってあります。
ここで良いコミュニケーションが取れるかどうかのポイントは、困り顔で言い澱んだところをキャッチできたかどうかです。
良くない例
こちらは、表情などを読み取らずに言葉どおりの意味だけを飲み込んで対応してしまった例です。
社内運動会をするために、いつものようにテントとか物品を諸々借りたいんだけど・・・(困り顔)
ありがとうございます!参加される人数はいつもとお変わりありませんか?
あ。はい
これでは、マンネリ化してしまっている同じような社内運動会がまた延々と繰り替えされるだけになっていまいます。
ベクトルをあわせることの大切さ
コミュニケーションが上手に取れていないと最終的に「目指していた方向とは全然違うよくわからないもの」が出来てしまいかねません。
イベントはたった一回しかないものですから、私たちはその場を大切にしたいと思っています。
だからこそ、言葉を言葉どおりに受け取るだけではなくお客様がどのような事を課題に感じているのかを汲み取るために日々尽力しています。
この記事を読んで、面白いなと思って下さったら幸いです。